ホテルの場所の連絡をもらったとき、予めGoogleMapで周囲を調べてみた所、この「文昌宮」が近くにあるのを知ったので、 来てみたのである。予想通りインパクトのある建物だ。 道教の学問の神様、文昌帝君を祀っている。 日本でいうと天神さんにあたる神様で、廟の中には山ほど絵馬が奉納されているが、全部合格祈願のものである。 主殿の文昌帝君の他に、中国の役人登用試験・科挙の神様である「朱衣神君」(写真)、書道の神様「文魁夫子」、 そして三国志の英雄、関羽である「關聖帝君」も一緒に祀られている。どの神様も堂々と髭を蓄え、威厳のある姿の像が祀られている。

文昌宮の前は、有名な雙連朝市という、朝市が出る通りである。六時を過ぎて、店の人が 大きなスイカや、鶏肉豚肉を並べ始めた。緑道では、中高年のグループが、御揃いのジャージで 太極拳を始めている。

そんな中を歩いて、すぐ近くにあるエレベータに乗って地下へ降りる。 雙連站のスタンプを押してこよう。改札のすぐそばに設置されていたスタンプを押すと、今見て来た 文昌宮が描かれている。その他に、先ほど前を通って来た大きな病院「馬偕紀念醫院」の 創立者、Dr.MacKayの銅像が描かれている。

片道２時間高速道路を飛ばして、台中のお客様の所へ打ち合わせに行って戻ってくると、もう夜である。 文昌宮に願をかけたお蔭か、台中でのお客様打合せはうまくいったが、疲れたしお腹もすいた。 そこで、台湾料理の名店、 梅子餐廳 で食事をすることになった。 台湾ビールを頂きながら、少しピり辛のシジミの醤油漬け、この時期美味しいタケノコ、ボリュームある豚の角煮、 名古屋の台湾ラーメンの元になった担仔麺など、お腹いっぱい頂く。マンゴーのデザートがまた、美味しかった。

広い駅を歩き、駅スタンプを探し当てて押してみる。描かれているのは、昔のアメリカ領事館の 建物が映画をテーマにした展示館になっているという、「光點臺北映画館」 と、日本統治時代からの技を守る職人が居るという、「桶店]である。 賑やかな街の真ん中にありながら、いろいろ文化も深い街の様である。

22:00頃、中正紀念堂站到着。ここは、中華民国初代総統・蒋介石を記念する大きな広場のあるところだ。 台湾の有名な観光地の一つである。ライトアップされた建物が、この時間綺麗なのではなかろうか。 そう思い、来てみたかったのである。 スタンプにも当然、中正紀念堂が描かれている。

地上に出ると、闇の中、目の前に巨大な中国風の宮殿があらわれ圧倒された。 しかしこれは宮殿ではなく「國家音樂廳」というコンサートホールだった。こんな遅い時間なのに、周辺でいくつものグループが、音楽や演劇の稽古をしている。 アーチを５つも並べた正門「大中至正門」が、闇の中に黄金色に輝いている。

中国大陸での共産党との内戦に敗れ、台湾にやって来た国民党。蒋介石総統の時代から長く一党独裁がつづいてきたが、 台湾出身の李登輝総統の時代に民主化が進み、台湾の政治状況は随分変わった。この５月の選挙で民進党の蔡英文 総統が誕生した。中国との関係は難しいが、台湾生まれの台湾人の国としてこの先進んで行きたい、そんな人々が後押し したと言われている。

先ほど乗って来た地下鉄2号線・淡水信義線で、さらに先に進んでみた。 たまたま乗ったのは、大安駅行き止まりであったので、22:24、ここで降り、 他の路線を使って帰ろうと思う。 地上に出て、東側を眺めると、台湾のランドマーク101タワーがライトアップ されているのが見えた。

ではまず、文湖線に乗り換えようと進んでいくと、意外にも地上より上の高架線に上がっていった。 文湖線は、日本で言うと「ゆりかもめ」に近い、新交通システムの様である。 そういえば先ほど押してきた、大安駅のスタンプにも、高架を行く列車が描かれていたが、 文湖線の事だったか。

「ゆりかもめ」そっくりの狭い車内、高架線を行き、南京復興駅に22:46着。 この駅のスタンプにも、高架線の文湖線が描かれていた。今度は、松山新店線に 乗り換えるが、こちらはいわゆる「大深度地下鉄」の様であり、随分下まで エスカレータで何度も降りて行った。ようやくホームに行きつき、松山新店線 に乗る。

朝6:30、同行していた同僚と二人、ホテルをチェックアウト。これから松山空港へ向かうが、私の提案で地下鉄で行くことにした。 せっかくなので雙連朝市と文昌宮を、同僚にも少し観光してもらってから、雙連駅で25元のトークンを買い、地下鉄に乗る。

松山空港までのコースは、雙連駅→(淡水信義線)→中山駅→(松山新店線)→南京復興駅→(文湖線)→松山機場駅であり、 ２回乗り換えとなるが、実は私は昨晩、このことも考慮して下見したつもりである。順調に乗り換え、高架の文湖線に 揺られるうちに、滑走路や飛行機が見えて来た。松山空港駅、7:00。駅スタンプのデザインは、当然空港の眺めである。

朝食がまだだった。２日間、美味しい台湾料理を頂いていたが、ちょっとそろそろ違うものを食べたい という意見が同僚と一致して、空港のスターバックスコーヒーに入って、サンドイッチを食べる。

あとは、8:45発のJAL96便にチェックインするだけだが、ちょっとやることがある。私は同僚に 先にチェックインしてもらい、一人空港の中を歩く。松山空港の３階に展望デッキがあり、そこにスタンプが あるとネットで情報を得ていたからである。台湾を旅行する日本人は多く、記念スタンプを押している人が 情報を上げていてくれていることが多い。