その前に、忘れずに、福井駅のTrainTrip印の追加分も押して行かねば。 7月に追加された「生き物シリーズ」のスタンプがあるのだ。 福井駅は、実にこれで５種類目のTrainTrip印である。 スマホを操作すると、大きな恐竜、首長竜の姿が現れた。 フクイティタンという名前らしい。恐竜が多く発見されている、勝山市の地層から出土したらしい。 駅前に実物大の動く模型として再現され、福井まで恐竜を見に来た子供たちに大人気である。

この切符の良いところは、青春18きっぷと違って、自動改札機を通れることである。 さあ、福井駅の自動改札機に通して、旅を進めよう。 ところがである。自動改札機はエラー音を発し、私のきっぷを吐き出した。ゲートは開かない。 もう一度やってみたが、同じである。なぜ？私は改札窓口の駅員氏に、通れないとクレームをぶつけた。

な、なるほど。越美北線は、越前花堂駅から分岐していたんだった。
そこまでは北陸本線の線路を走るのだった。瞬時に理解できたので、
「なるほど、失礼しました。追加のきっぷを買ってきます！」と答えた。
券売機で、ハピラインの170円区間のきっぷを購入し、自動改札機に通して事なきを得た。
しかしこれ、鉄道ファンの私はわかるけれど、なかなか難易度の高い運用だなあ。
広い福井駅の端っこの方にある、越美北線のホームに行き、12:48発の九頭竜湖行きに乗った。

福井駅の一つ南の、越前花堂駅で北陸本線から、単線の越美北線の線路に入った、 １両だけの九頭竜湖行きは、徐々に山の中へと登って行く。観光客なのか、 結構乗客は多かった。

13:06、一乗谷駅着。ここで結構な数の乗客が降りて行った。 ここは、戦国時代の越前領主・朝倉氏の本拠地、一乗谷への最寄り駅。 織田信長に滅ぼされて、繁栄していたその町は歴史から忘れられていたが、 遺跡が発掘され、町並みが再現されて、観光地になっている。 降りて行ったのは、一乗谷の遺跡を見に行くツアーのお客だったのだろう。

黄金色の水田が広がる平地に、１つだけ形の良い山がある。その頂上に天守閣が見える。 あの越前大野城が、天空の城と呼ばれるのは、この盆地が霧に包まれる時、 天に浮かんだ様に見えるかららしい。坂を下り、13:46、越前大野駅着。 TrainTrip印を取得すると、やはりあの城が描かれている。

一乗谷の朝倉氏を滅ぼした後、織田信長は、今の福井市、北の庄を柴田勝家に、 この大野を金森長近に与え、城を築かせ、越前を統治した。湧水が豊かなこの街は、 今もその歴史を感じさせる、私が大好きな街の一つである。

このまま登って行けば、越前から美濃に抜けていく峠であるが、 この線路はその手前までで途切れている。越美北線は、 今は長良川鉄道となっている越美南線へつながる計画だったが、 実現することはなかった。 この先に作られたダム湖の名前を取った終着駅、九頭竜湖駅までである。14:21着。

下車してちょっと驚いた。ログハウス風の駅舎から、恐竜が顔を出していたり、 大きなアンモナイトが置かれていたり、ちょっと異世界な飾りつけになっているのだ。

16:05、福井駅着。改札で「秋の乗り放題パス」を見せて、 越前花堂から福井までの、ハピライン区間170円の清算を済ませる。 次の目的地は、ハピラインふくいのスタンプのある、芦原温泉駅であるが、 せっかくなのでもう少し寄り道して行きたい。

大きな恐竜の骨格標本が飾られている駅の出口を出て、その先の、 えちぜん鉄道の福井駅へ足を向けた。この立派な高架駅に変わってからは、 初めて来るので、変わりように驚いた。

つい最近、えちぜん鉄道にもエキタグが導入されたというので、 スマホでスキャンしてスタンプを収集した。この高架の新しい駅が描かれていた。

その他に、以前から置かれているらしいラリー用のスタンプで、 福井県庁が描かれているものが置かれていたので、押していく。

線路は、九頭竜川河口の町、三国へと続く。 約一時間かかり、三国駅には17:27に着いた。 設置されたエキタグには、この綺麗で新しい駅舎と、 有名観光地、東尋坊が描かれていた。

三国は、九頭竜川河口の港町。はるか昔から、この港と九頭竜川が、 越前の物流を支える水運であった。越前国府や一乗谷へ物資を運ぶ時、 この港が中継した。江戸時代には北前船でにぎわった港である。

リアルスタンプは２つ置かれていて、 「坂井市龍翔博物館」 の特長のある建物が描かれていた。明治時代に建てられた洋館の小学校をモデルにした、 三国港の歴史を伝える博物館である。息子が小さかったころ、家族で芦原温泉に泊まった時、 ここを見学したことがあり、懐かしい。

さて、そうこうしている間に、すっかり日が暮れてしまった。 17:40発の福井行きで折り返し、あわら湯のまち駅まで戻る、17:48着。 ここが、芦原温泉の温泉街の最寄り駅である。温泉町らしい風情を感じる、良い駅である。 エキタグをスキャンしてスタンプを取得すると、この駅舎と、足湯の様子が描かれている。

前回この駅を訪問したときに、私もこの足湯を楽しませてもらった。 駅の向かい側にある和洋折衷な感じの建物がその足湯で「芦湯」という洒落の聞いた名前になっている。

リアルスタンプは、ここも２つあり、新旧のラリースタンプであるらしい。 いずれも温泉の様子を描いたものである。

さてここから、ハピラインふくい、北陸本線の芦原温泉駅までは、バスが出ている。 次は17:53発なので、ちょっと残念だが、足湯を楽しむ時間はなさそうだ。

すっかり暗くなってしまい、芦原温泉駅行のバスは闇の中を15分ほど走って、18:10、 芦原温泉駅着。結構、温泉の中心街からは距離があるのだ。

北陸新幹線の駅に変貌した、芦原温泉駅。とても巨大で立派である。 ５月に訪問したときは昼間だったので、日が暮れてから来るとまた違った印象である。 ただ今日は新幹線駅側には用が無くて、在来線の北陸本線側にある、 ハピラインの案内窓口に向かう。そして、このスタンプを押した。 やはり幸せそうに温泉に入る人が描かれている、イメージ通りのスタンプであった。

エキタグの方も、同じデザインで、色だけ違う黒。 これで、今回の当初の目的、ハピラインふくいの全スタンプの押印を達成できた。 さあ、あとは今日の宿泊地、敦賀まで移動すればミッション完了である。

敦賀までの移動なら、北陸新幹線でスッと行ってしまうのもいいなあ、と思った。 スマホで時間を調べてみよう。しかし、実際に調べてみると、ハピラインふくいの在来線で行っても、 それほど変わらないようである。それならお金ももったいないし、ハピラインで行く事にしよう。

でもその車内で、私は重要な事に気が付いた。エキタグの押印記録を見たところ、 鯖江駅のエキタグが抜けていたのである。どうやら午前中に寄った時、 リアルスタンプだけ押して安心し、エキタグを忘れていたようなのだ。

これは気が付いて良かった。今ならまだリカバー可能である。 18:37に福井駅に着き、すぐ向かいのホームの18:39発の敦賀行きに乗り、 18:56、鯖江で下車する。

案内窓口に設置されたエキタグをスキャンして、 メガネとレッサーパンダの黒色のスタンプを取得できた。 ただ、案内窓口の営業時間は19:30までのようだ。 ハピラインふくいのエキタグは、 案内窓口の部屋が閉まると押せなくなるので、 結構あぶないところであった。

次の19:13発の敦賀行きに乗り、あとは敦賀まで、夜汽車の旅である。 思ったより遅くなってしまったので、お腹がすいたなあ。 敦賀で何を食べるか、検討する時間となった。敦賀には、19:50着。

これも忘れていたのだが、敦賀駅にも7月に、TrainTrip印の「生き物シリーズ」の 新スタンプが設置されていたので、駅についてまずそれを取得した。 なんとも立派な、ふぐが描かれていた。うーん、こんな高級な、ふぐとはいかないが、 港町敦賀に来たんだから、なにか美味しい海の魚を食べたいな。

ちょっと贅沢だが、刺身の盛り合わせと、じゃこ飯を注文し、堪能させていただいた。 まずは一日目の旅は成功。今回は「秋の乗り放題パス」の３日間の旅である。 あと２日楽しもうと思う。明日は、久しぶりに小浜線に乗ろうと思っている。 それに備えて、早めに休むことにした。（→つづく）