若狭本郷、若狭和田駅も過ぎて、列車は9:02、若狭高浜駅に着いた。 2008年に押し鉄の旅で訪問して以来、もう15年ぶりの下車である。 その後設置された新しいスタンプがいろいろとあるので、 押して行こう。改札の委託駅員さんにスタンプについて聞いてみると、 いくつかまとめて出してくれた。

大きくて立派なこのスタンプは、高浜町の観光協会が最近、 町内の４駅に設置したものである。

この他にも、もっと前の高浜町のラリースタンプや、 2012年頃に小浜線で行われたラリースタンプがまだ残っていて、 押すことが出来たので、紹介しておく。

4分ほどの乗車で、一駅東に戻り、若狭和田駅に9:10着。 降りたのは私の他に2人ほど。こちらも業務委託駅で、列車が行ってしまうと静かなものだ。 駅員さんに尋ねると、若狭高浜と同じ種類のスタンプがセットで出てきた。 まずは、夢中でそれらを押した。

若狭和田も、海水浴場として有名で、とてもきれいな砂浜が広がっている。 その様子と、海水パンツの男の子が、やっぱり描かれている。

さて、今日の旅のスケジューリングで、一番悩ましかったのが、 この後の時間である。次の東舞鶴方面行きの列車は、11:21発で、 ほぼ２時間ないのである。それで考えていたのが、自転車を借りて散策しよう、 という事であった。

すぐに広がった砂浜のビーチ。青い海の向こうに、美しい青葉山、若狭富士が見える。

一時間程、周囲をぶらぶらと散歩し、見つけた喫茶店に入った。
昼食を食べたかったが、食事はやっていなかったので、トーストを食べて休憩した。
コンビニに寄って惣菜パンを買い、若狭和田駅に戻ってから待合室で食べてエネルギーを補充した。

11:21、ようやくやってきた東舞鶴行きに乗って、西への旅を再開する。 若狭高浜駅を過ぎると、列車は内陸に入っていく。青葉山に近づき、その麓の、 福井県と京都府の境になっている峠を登って行くのだ。

その途中にあるのが、三松駅。ここは無人駅になったので、 高浜町の設置スタンプは、若狭高浜駅に置かれており、すでに押してきたので紹介する。 やっぱり、海パンの男の子が描かれている。

峠を下る途中にあるのが、松尾寺駅。京都府舞鶴市側の、最初の駅である。 ここは今回、是非降りてみたい駅であった。11:38着。

駅舎は、線路から一段低いところにあり、ホームから緩い石段で下っていく。 一目で、これは開業当時からの建物に違いないとわかる、 素晴らしい佇まいの木造駅舎が残っている。国の登録有形文化財であるらしい。 開業は、1922年(大正11年）だから、102年の風雪に耐えてきたらしい。 数年前に、この駅舎を描いた素敵なスタンプが設置された。 これが押したかったので、押せて大変満足である。

これから、12:19発の若狭高浜行きのバスに乗ろうと思う。 ちょっと写真の時刻表を見ていただきたい。このバス、一日の運行本数は５本だけ。 朝夕以外は、12:19発のバスしかないのだ。前後３時間、バスはないのだ。 こんな不便なバス路線が生き残っているのが、不思議な程である。 ともかく私にとっては、このバスが旅程の解決策だった。

バスを待っていると、小さな男の子を連れたお母さんがやってきて、隣に並んだ。
え、これに乗るの？、と不思議に思ったので、
「ここのバスは少ないですよね、乗られるのですか？」と聞いてみた。
「地元なんだけど、この子はバスに乗ったことがないんです。一度乗せてあげようと思って。」
とのこと。車で松尾寺駅まで来て、車を駅前に置いてきたそうだ。
これから男の子を、バスと列車に乗せてあげて、駅まで戻ってきたら、車で帰るそうだ。
鉄道もバスも不便なので、地元の人も普段は乗らないのだなあ、と良く分かった。

時間通りにバスはやってきて、男の子は
「わあい、バスだバスだ」と喜んで乗った。

バスは、京都府と福井県の県境のトンネルを抜け、再び福井県に入る。 峠の途中に「青郷」というバス停があり、私はここで降りる。 ここから歩いて、小浜線の一つ手前の駅、青郷駅に行く事が出来る。 このジグザグ旅程を取るのが、私のねらいであった。 これでうまく、効率よく駅スタンプを押すことができる。 お母さんと男の子にバイバイをして、下車した。

海水パンツの男の子がキャラクターな高浜町のラリースタンプ、 先代の高浜町のラリースタンプ、小浜線の2012年ごろのラリースタンプと、 この駅にも３枚のスタンプが揃って置かれていた。

東舞鶴駅に着けば、私も小浜線にバイバイだ。バスと自転車のアシストがあって、 うまく旅を楽しむことが出来た。今日は、まだまだ西へと旅を続けるつもりだ。
（→福知山地区第９章へつづく）