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（→高田城のつづきです。)
未登城の続日本100名城に登城しようと、新潟県は上越までやってきた。 上越妙高駅前のホテルに泊まり、2024年11月15日(土)、 まずは朝から高田城を巡り、9:25、タクシーで上越妙高駅前に戻ってきた。 この後は、上杉謙信が武田信玄に備えるために築かせた山城、鮫ヶ尾城に行ってみようと思う。 |
| この新しい、北陸新幹線の駅前には、上杉謙信の像が作られた。 戦国大名として１、２の人気を争う上杉謙信は、この地のヒーローであるから、当然だろう。 騎馬姿で、金の兜に、背中の金の「毘」の文字、実にカッコいい。 JRのデジタルスタンプ、エキタグにも、この像が描かれた。 |
 *AKINA*さん先行押印 |
上越妙高駅
(北陸新幹線) エキタグ 豊かな自然と歴史情緒のまち のちの上杉謙信、長尾景虎は、越後守護代の長尾家に生まれた。 成長するにつれ、父の跡を継いだ兄よりも、武芸に優れ人望もあったため、 当主に推された。兄は隠居して、彼に当主の座を譲った。 彼の上司の立場である、守護・上杉氏の館は、直江津の港に近い場所にあり、 「御館」と呼ばれていた。背後の春日山は「御館」の防衛拠点として作られ、要塞化されていた。 下剋上の世の事、実力は上杉氏より長尾氏の方が上であった。 謙信は春日山に入り、まずは越後国内をまとめあげる。 |
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私は、日本100名城である春日山城には、ずいぶん前に登ったことがある。 本丸からは、直江津の港と海が見え、なるほどこの地を統治するにふさわしい場所であった。 日本100名城のスタンプも、 10年ほど前の冬、出張の後で上越に寄った時に押印済みである。 今日はそれ以来の、謙信の城の訪問である。 |
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日本100名城、其の32 春日山城 越後の国はとても広く、纏めていくのは大変な国である。 国人武将はしばしば反乱を起こし、長尾家の親戚筋にも実力者がいた。 謙信は持ち前のカリスマ性で彼らを抑え、越後一国をまとめ上げた。 特に戦をしたらめっぽう強く「軍神」「毘沙門天の化身」と呼ばれた。 「正義」を強く重んじる信念を持ち、頼ってくるものは必ず助けた。 やがてそれが周囲の国にも知れ渡り、武田信玄に攻められた信濃の武将や、 北条氏康に攻められた関東の武将が、謙信を頼って越後にやってくるようになった。 ついには関東管領であった上杉憲政までやってきて、上杉家と関東管領職を継いでくれという。 謙信はそれにも応じ、上杉政虎と名乗り関東や信濃へ「正義の戦い」のためにたびたび出陣した。 |
 2010年12月25日押印 |
| だが戦っていた相手も強い武将ばかりであった。特に武田信玄との戦いは熾烈を極め、 信濃の川中島で５度も戦って決着がつかなかった。信玄はたびたび、北信濃に侵攻してくるので、 それに対抗するための守りを固めておく必要があった。そういった事情で作られた山城の一つが、 これから行こうとしている、鮫ヶ尾城である。当時の縄張りが良く残っているため、 続日本100名城に選ばれたようだ。 |
| この上越妙高駅から南に5kmほどの所にある鮫ヶ尾城。訪問には、 駅近くでレンタサイクルを借りるのが便利だ。 さっそく電動アシスト付き自転車を借りて、行ってみよう！ 走り出せば、稲穂が良く実った、広い黄金色の田園風景の中を行く。 秋晴れで青空が広がり、遠くに妙高山の特徴ある山容も見え、実に気持ちが良い。 若き日私はこのあたりの道も、自転車旅で往来したことがあるので、 懐かしく、嬉しい。還暦を過ぎた私だが、足の衰えも、 電動アシストのおかげで感じることがない。 |
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続日本100名城、其の133 鮫ヶ尾城 30分ほど走り、鮫ヶ尾城への登城口に着いた。 急な坂道を登って行くと、少し開けた高台がある。 ここは、「斐太の里」と言い、 古くから人が住んでいた場所であるらしい。弥生時代や古墳時代の遺跡が残っているようだ。 鮫ヶ尾城は、ここからさらに山を登ったところ。自転車はここに置いて、後は歩いて登らなければならない。 大きな案内看板があって、険しい山城への登城ルートが描かれている。 続日本100名城のスタンプは、この場所にある「斐太歴史の里総合案内所」で押せる。 スタンプだけ押して帰ろうか、しばし悩んだが、他に登って行く人がいるのを見て、私も登る決心をした。 |
| たぶん堀の役割をしていたであろう、大きなため池があり、その横から南登城ルートに入っていく。 途中までは緩やかに登って行くのだが、急にとてもきつい勾配を登る道に変わった。 季節柄、落ち葉が多く、それを踏みしめて登る。途中、空堀や切岸や曲輪など、山城らしい遺構がいくつもある。 春日山城に似ていると思う。上杉流築城法なのだろう。 |
| 20分程登り、やっとたどり着いた本丸からは、高田平野が一望、日本海まで望めて気持ちが良い。 新幹線の上越妙高駅も、眼下に小さく見える。謙信がにらみを利かせた、南側の信濃への道も良く見通せる。 謙信はこの城を、堀江宗親という武将に守らせた。 謙信はその後、武田信玄と何度も戦い、並行して三国峠を越えて関東に攻め入っては、北条氏康とも戦った。 八面六臂であった。 |
| やがて織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を倒し、駿河国が弱体化すると、武田信玄は駿河へと侵攻、占領した。 力の均衡が変わり、北条氏康は強大になった武田に備えるため、これまで敵対していた上杉謙信と、 同盟を結びたいと申し入れてきた。人質として、北条三郎という若者を送って来た。 |
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これがなかなかの人物だったらしく、謙信は気に入り、養子にするという好待遇で迎えた。
自分の若い頃の名前を与え、上杉景虎、と名乗らせた。
上杉謙信には実子がなく、すでに一族の長尾政景の息子、上杉景勝を養子にして後継者にしようとしていた。
さらに上杉景虎にも、長尾政景の娘を嫁がせることにした。景勝と景虎は義兄弟となり、
２人で上杉家の今後を支えてもらいたい、と思ったのだろう。
北条氏との同盟は、北条氏康が死に、その子北条氏政の代になると破綻したのだが、 それでも謙信は、上杉景虎を養子のままとどめ、これまでと同じように一族として待遇した。 やがて謙信は、実力を増してきた織田信長と、北陸方面で戦う局面を迎える。 謙信は相変わらず強く、信長にも負けてはいなかったが、ここで上杉家に大きな不幸が襲い掛かる。 ある冬の日、謙信が卒中で倒れ、そのまま亡くなってしまうのだ。 突然カリスマリーダを失った上杉家は、大混乱に陥った。
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| こういう時こそ、景勝と景虎、２人の養子が協力して上杉家をまとめて欲しいところだ。 しかし残念ながら、越後はもともと、まとまりにくい国。あっという間に、景勝派と景虎派に分かれて、 内乱が起きてしまった。景勝に攻められ景虎が春日山城下の、御舘に逃げ込んだため「御舘の乱」と呼ばれる。 景虎は、自分に味方してくれていた、堀江宗親を頼って、ここ鮫ヶ尾にこもり、実家の北条家への脱出を試みる。 しかし実はこれは、景勝側の罠で、堀江宗親は既に寝返っていた。城に火を放ち、景虎を自刃に追い込んだ。 |
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下りは、北登山口を降りることにした。こちらの方が坂が急で、沢山の落ち葉に埋もれて何度か足を滑らせたが、
なんとか麓に降りてきた。「斐太歴史の里総合案内所」で飲み物を買って一息ついた。結局一時間以上かかってしまった。
帰りの新幹線の時間を考えると、あんまりゆっくりしていられない。置いていた自転車に再度またがり、
上越妙高駅への帰路に就いた。
ただこの里の麓に、一か所、寄って行きたいお寺があった。勝福寺という。堀江宗親が、上杉景虎の菩提を弔わせた寺だという。 境内には、不運に散った、上杉景虎の石像や、供養碑があった。 |
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上杉謙信の後継者となった、上杉景勝。織田信長が本能寺の変で散ったために、なんとか上杉家滅亡を免れた。
豊臣秀吉との関係を強固にして、５大老の一人という立場を得たが、加増とはいえ越後を離れて、会津への転封を命じられた。
越後での、上杉家の盛衰は、「兵どもの夢の後」となった。
北へと向かう道は、緩やかな下り坂だ。 |
