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(→福知山地区第10章のつづきです） 毎年秋の、鉄道記念日の前に発売される「秋の乗り放題きっぷ」は、 3日間JRの普通列車が乗り放題になる切符である。 この切符で、鉄道の旅を楽しんでいる。2024年10月12日(日)、今日が3日目、旅の最終日。 山陰本線の、鳥取行きの列車に乗り、西に進んでいる。 |
| 鳥取県に入り、岩美駅を過ぎ、車窓に日本海が大きく広がった。美しい白い砂浜に、 波が打ち寄せている。8:11、東浜駅着、海に近い無人駅だ。 乗る人も降りる人もない。夏場の海水浴シーズン以外は、静かな駅なのだろう。 |
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東浜駅
(山陰本線) TrainTrip印 駅舎 無人駅なのに、この駅がTrainTrip印の設置駅になっている。 スマホを操作して取得すると、駅舎が描かれたスタンプが現れた。 ずいぶん現代的な、スマートな駅舎だ。 2017年に、クルーズトレインTWILIGHT EXPRESS 瑞風が立ち寄る駅となったのに合わせ、 この新駅舎へと改築されたのだそうだ。瑞風の乗客はこの駅で降り、 浜辺まで歩き、日本海を眺めるのだ。優雅な旅だなあ。 |
 秋吉万葉さん先行押印 |
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さて、この東浜駅のTrainTrip印は、この「押し鉄のススメ」の掲示板の仲間、秋吉万葉さんが、すでに送って下さっていた。
彼は鳥取の方で、この辺りが地元である。かねがね、一度お会いしてみたいと思っていた。
今回、お会いする時間を頂けませんか、とご連絡してみたところ、快く応じていただけた。
この列車が着くのに合わせて、鳥取駅に来ていただけることになったのだ。大変ありがたいことである。
彼にお会いすることが、この度の大きな目的の一つになった。 |
 文月さん先行押印 |
鳥取駅
(山陰本線) TrainTrip印 鳥取砂丘 車窓は鄙びた海岸から、徐々に街に変わっていく。線路は高架となり、8:42、鳥取駅着。 ホームに降りて、まずはTrainTrip印を取得。やっぱり図柄は鳥取砂丘であるか。 砂丘を見に行ったのはもう15年前。前回の鳥取訪問からも、すでに7年経ってしまった。 駅のコンコースに、巨大でカラフルな傘が飾られている。雨乞いの祭りが起原だという、 しゃんしゃん祭りの傘踊りで使われる、傘である。「ようこそ、鳥取へ」と歓迎している。 |
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改札の外で、無事、秋吉万葉さんにお会いできた。うれしい。 「まずは番頭さん、こちら、こちらへ」と駅の中を案内される。 |
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鳥取駅観光案内所 素足ふれあい鳥取路
「まずはこちらの観光案内所に、スタンプが２つあります。」 |
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| おかげで、鳥取駅で押せるスタンプを一通り、迷うことなく押させてもらった。 そのあとは、土産物屋さんが並ぶ駅の一角にある、ドトールコーヒーに入り、 しばしお話しをさせていただいた。 |
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鳥取駅外国人旅行客案内所 International Tourist Support Center 秋吉万葉さんは、私よりだいぶお若い。 鳥取市内にお住まいで、旅行好きな方。 車や列車で、山陰や中国地方、近畿地方あたりまで旅に出かけられ、駅スタンプ収集や、温泉巡りをされている。 ただ、お祖母様の介護をしている関係で、あまり遠くまでは出かけられないそうである。 アニメやガンプラがお好きなようで、 彼のブログを見に行くと、 いつもそんな話題が上がっている。私にとっては、大変ありがたい、掲示板のお仲間である。 今日はお会いできてよかった。これからもどうか、よろしく。 |
| 私は「押し鉄のススメ」の掲示板のお仲間とは、ぜひ一度はお会いしたいと思っている。 今後、他の方とも、こういう時間が取れたらいいなあ、と思っている。 |
| さてこれから、若桜鉄道に乗りに行こうと思っている。 ７年前に乗りに来ているが、いろいろとやり残した課題があるのだ。 鳥取駅を9:47に出発する、若桜行きの列車があるので、それに乗ろうと思う。 郡家駅までJR因美線を走り、そこから若桜鉄道に乗り入れる列車である。 |
| 土産物屋さんで鳥取のお土産をいくつか買い、秋吉万葉さんとお別れし、高架のホームへ上がった。 |
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入線してきた青い車両は、2018年から運行されている若桜鉄道の観光列車「昭和号」である。
乗ってみると、木が多用され、和を感じる内装だ。これは水戸岡鋭治さんデザインだとすぐわかる。
少しでも観光客を増やそうと、こういう車両を３両も作ったのだそうだ。
鳥取の街を抜けて因美線に入ると、周囲の建物が少なくなり、のんびりした車窓になった。 郡家駅から分かれて、若桜鉄道に入っていく。若桜鉄道は、旧国鉄若桜線を引き継いだ第三セクターである。 若桜線は戦前、山陰本線のバイパスとして、養父駅(現在の八鹿駅）へつなごうと計画されたが、 全通することはなく、1930年までに開通していた若桜駅までのままとなった。 林業が盛んだったので、木材の運び出しに活躍したのだが、その林業も衰退した。 過疎が進み、国鉄がJRになるとき、分離されて若桜鉄道になった。 いろいろな努力をし、なんとか鉄道を残そうと奮闘されているようだ。 |
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| 郡家から先は、JRの「秋の乗り放題パス」では乗れないので、車掌さんから、760円の 一日フリーきっぷを買った。安く感じるが、路線は9駅19.2kmと短いので、 こういう値段になるのだな。これではなかなか、運賃だけで収益を上げるのも難しそうだ。 |
| 途中の駅には開業当時の木造駅舎が残り、昔の鉄道の旅の風情を感じる事ができる。 寅さん映画に出てきた駅もあるらしい。 「昭和号」というネーミングにぴったりな沿線だ。 |
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若桜駅
(若桜鉄道) WAKASA SHOWA YAZU 先日、第102代の総理大臣になった石破茂氏の地元は、このあたりだそうだ。 鉄道マニアとしても知られ、私などは親しみを感じている。先日YouTubeで、 野党だが同じ鉄道好きの前原誠司氏と一緒に、若桜鉄道の旅を楽しまれている動画を見た。 何年か前のテレビ局の企画の番組だそうだ。地元の良さをPRされていたが、実に楽しそうであった。 今は国会で、少数与党での政治運営に大変苦労されているが、 「楽しい日本」が目標との事、良いじゃないですか。頑張っていただきたい。 |
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周囲には田園が広がり、柿畑も多い。少し向こうに里山が連なり、のんびり旅を楽しんだ。 終点、若桜駅には、10:37に到着した。 |
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鉄印・其の29 若桜鉄道 (若桜駅) 古い木造駅舎の中は、綺麗に改装されていた。「昭和号」の運行開始に合わせてこうしたのだろう。 少しでも乗客を増やそうと、若桜鉄道がいろいろ努力されていることがわかる。
さて、先に書いた、若桜鉄道での課題をこなしていこう。
まずは、前回訪問後に始まった、第三セクター40社の人気の企画、鉄印である。
何種類もあったが、桜の文様が地に入っている、一番シンプルなものにした。
駅員さんが日付を書き込んでくれた。 |
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この若桜の街での課題は、他にもあって忙しい。 私は次に、駅前通りを100mぐらい歩いたところにある、若桜町観光協会の建物を訪問した。 ここに、続日本100名城のスタンプがあるからだ。 |
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続日本100名城、其の158 若桜鬼ケ城 若桜という街の歴史は、実はとても古い。 姫路から鳥取、山陽から山陰へ抜ける街道が通る、交通の要衝である。 鎌倉幕府を開いた源頼朝は、この地を抑えるべく、矢部氏に領地を与えた。 矢部氏は、街道を見下ろす山の上に、若桜鬼ケ城を築城する。 以来代々、矢部氏は300年にわたり、この地を収めた。 戦国時代になると、尼子氏・毛利氏・織田氏・豊臣氏の、因幡における勢力争いの中で、 矢部氏は滅んだが、若桜鬼が城は軍事拠点として整備された。 だが徳川家康が天下統一すると、一国一城令によって破却された。 |
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ここからすぐ南側に見える山の中に、若桜鬼ケ城の遺構の石垣が残っているそうである。
本当は時間をかけて見学して行きたいところだが、今日はこの観光案内所で、
続日本100名城のスタンプを押すだけとする。というのも、まだもう一か所、
是非今回、行っておきたいところがあるからだ。お許し願いたい。 駅前の道はもう少し歩くと、Ｔ字路に突き当たる。突き当たった道が古くからの街道で、 町並みに雰囲気が残っている。戦乱が無くなった江戸時代は、 宿場町、そして林業の町として続いた、若桜の街並みである。 |
| そこに「若桜駅前」というバス停があり、10:47発の郡家行きのバスに乗った。 若桜鉄道を下車してから、バスに乗るまで、わずか10分。とても慌ただしかった。 バスは国道482号線沿いを走る。このバスに乗ったのは、もう一駅、若桜鉄道の別の駅に行きたかったからだ。 列車本数が少ないため、このバスを使って先回りするのが目的だ。この方法しかなかったのである。 |
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隼駅
(若桜鉄道) 聖地 隼 HAYABUSA 周囲に田んぼが広がっているだけな感じの「市の谷」というバス停で下車する。 スマホの地図を見ながら確認した結果、このバス停が一番、行きたい駅に近そうだったからだ。 後は徒歩である。人通りのない道を南へ歩いていくと、橋があり、広い川を渡った。 八束川、というらしい。渡り切ると、若桜鉄道の線路が見えてきた。 あとは線路に沿ってしばらく歩き、目的の駅に到着できた。結構歩いて、しんどかった。 |
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| こうまでして寄ってみたかったのが、この隼駅、ハヤブサ駅である。 1930年（昭和5年)の開業当時からの木造駅舎が残る、とても素晴らしい駅である。 隼という地名は、近くに1500年もの歴史を持つ隼神社があることから、 相当古いものであるようだ。 |
| 2000年代から、SUZUKIの大型バイク「隼」に乗るライダーの間で話題となり、 バイクで訪れる人が増えた。いつしか、隼ライダーの聖地となり、 2009年からは毎年、「隼駅まつり」が開催されるようになった。 その日にはとても多くのライダーが、この駅に集結するという。 |
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駅の入口には、カッコいいSUSUKI隼のポスターが飾られている。
無人駅なのであるが、土日には「隼駅を守る会」の方が、
駅舎の中で、いろいろグッズや、飲み物の販売などを行っている。
今も数台の隼が駅前に停まり、乗ってきたライダーが、やっと来れた、
と嬉しそうにしている。
押し鉄の私の目的は、というと、もちろんこの駅に設置されたスタンプである。 前回、若桜鉄道に乗った時は、この駅に寄る方法を思いつかず、 あきらめたのだが、今日は念願かなってスタンプが押せた。大変うれしい次第である。 スタンプには「鉄道ファンとライダーの聖地」とある。まことにそうだ。 |
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冷たいラムネを１本買って飲み、一息入れた。 木造駅舎から続くホームの向こうには、青空と里山、田園が広がっている。 その向こうから、一両の青い車両が近づいてきた。上りの「昭和号」だ。 もう一度あれに乗って、残りの若桜鉄道の旅を楽しんでいこう。 （→つづく） |
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