神戸地区・私鉄スタンプ収集旅日記(#816)
    第8章 滝を見て帰ろう -神戸地下鉄4(西神山手線2)-

(→神戸地下鉄第3章のつづきです)

2025年3月20日、春分の日。駅スタンプを集めながら、これまで乗ったことが無かった、 神戸市営地下鉄の西神・山手線に乗り、終点、西神中央駅までたどり着けた。 満足であるが、まだこの路線の東半分の駅スタンプ収集が残っているので、 引き続き乗って行こうと思う。

西神中央駅13:21発の新神戸行きに乗る。新長田駅までは先ほど乗って来た区間を戻ることもあり、 緊張感も薄れていた。睡魔に襲われ、心地よく意識を失っているうちに電車は戻っていく。

今走り抜けている西神地区は、狭い神戸の街を広げようと、山地を造成して開かれた新しい街である。 そこで出た土砂は、神戸港に運ばれ、海が埋め立てられた。そうして出来たのが、 ポートアイランドなどの人工島である。そちらへ神戸の町を広げるのにも、貢献した開発であった。

長田駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
エキタグ/ 風見鶏と車両

地下に入り、新長田駅を過ぎた。この先、新神戸駅までは、1985年に延伸開業した区間だ。 新幹線単独駅だった新神戸駅へ直接つながり、大変便利になった。神戸の街の発展の、 ハイライトのような出来事であった。

さて私は、新長田駅の一つ先の、長田駅で下車する。13:51着。

長田駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
鳥居と車両

エキタグもリアルスタンプも、両方設置されている。 リアルスタンプは、10年前にも押したことがあるが、その時のもの2つが健在であった。 異人館の風見鶏と車両をあしらったものが、エキタグのデザインになっていた。 もう一つには鳥居が描かれており、長田神社を表している。 阪神大震災の時は、被災者の避難所となったそうである。 地域を守ってくれる大事な神社だ。

上沢駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
エキタグ/ 桜の花と車両

13:59発の電車で、次の上沢駅へ、14:01着。

エキタグもリアルスタンプも同じデザインで、桜の花と車両が描かれている。 この駅から歩いて行けるところに、会下山公園とか、湊川隧道とか、 桜の名所があるようだ。だが、今日は少し桜には早い時期なので、 このまま地下を、次の駅へ進もう。

湊川公園駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
エキタグ/ ハトと川と車両

14:07発の電車で、次の湊川公園駅へ、14:10着。

改札が2か所あるようで、出た側の改札で駅員さんに聞いたところ、 「この東口にはスタンプは無い、反対の西口へ回ってください」と言われた。 致し方ないが、地下ばかり歩くのもつまらないので、いったん地上にでて、 反対側の改札を目指すとしよう。

ところが地上に出ても、そこはトンネルの中を走る大きな道路の端であった。 歩道を進み、トンネルを抜けて振り返ると、「湊川トンネル」の文字があった。 ああそうか、ここがあの場所なんだと、私は思い出した。 このトンネルの上にはかつて、湊川が流れていた。周囲の土地よりも高い所を流れる 「天井川」で、たびたび洪水を起こしていたので、明治時代に河道の付け替え工事が行われた。

かつての河道は、湊川公園として市民に開放された。のちに、ここに道路を通すことになり、 公園の下にトンネルが掘られた。それが、今私が歩いてきたトンネルなのだ。 思いがけず、そんな話を聞き知っていた場所を見ることが出来、楽しかった。 西口で押したスタンプには、かつて流れていた湊川がデザインされていた。

大倉山駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
エキタグ/ アジサイと車両

14:24発の電車で、次の大倉山駅に14:26着。

ここも、エキタグ1つと、リアルスタンプが2種類あった。 エキタグになっている方のスタンプは、アジサイと車両を描いたもの。 駅に近い大倉山公園は、アジサイの名所なのだそうだ。 もう一種類のリアルスタンプは、もう少し古いもので、 押してみると、絵柄に気になるところがあった。

大倉山駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
帆船と車両

港町神戸らしく、帆船が描かれているのが、 「  」を故郷神戸へ、とあり、何か書いてあったはずの文字が、欠落している。 削り取られたのだろうか。ここに入る文字は「日本丸」かな?と推測するが、どうであろう。 どなたか、こうなった事情をご存じの方は無いだろうか。とても気になっている。

西神・山手線の駅は、残り少なくなってきた。いよいよ、神戸の街の中心へと入っていく。
14:34発の電車で、次の県庁前駅へ14:37着。

県庁前駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
エキタグ/ 異人館・県庁・車両

ここのスタンプは、10年前に一度押しているが、エキタグが追加された。 今も文化財として残る旧県庁の建物や、異人館の風見鶏が描かれている。

ちなみに「県庁前」という名前の駅は、 ここの他、沖縄のゆいレール、広島のアストラム、千葉の千葉モノレールにもある。 それぞれの町に密着した交通機関の駅ばかりである。 もしJRだったら、他と区別が必要だから「兵庫県庁前」という駅名になっていたことだろう。

三宮駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
エキタグ/ 船と町並みと車両

14:43発の電車で、次の三宮駅へ14:46着。
神戸の中心であり、乗り降りする人がとても多く、ホームも混雑している。 この駅のスタンプも10年前に押印したが、今日はエキタグのために改札まで行く。 船と町並みが描かれた、神戸らしいデザインだ。

さて、当初はここで路線を乗り換え、もうひとつの路線、海岸線にいくつもりであった。 前回訪問した後に、全駅に新しいスタンプが設置されたらしい。 しかしながら今日は、朝早くから大阪・神戸を回り、ちょっと疲れてしまった。 夕刻が近づいてきたし、海岸線は次回にまわすことにしよう。

谷上駅 (神戸地下鉄・谷上線)
エキタグ/ 神鉄・北神山の家〜ロッジ谷上〜

そのかわり、西神山手線を進み、そのまま繋がっている谷上駅まで行ってみよう。 新神戸から谷上までの区間は、以前は「北神急行」という別の鉄道会社の路線だったが、 2020年に神戸地下鉄に移管され「谷上線」となった。そうなってからは初の乗車となる。

14:53発の谷上行きに乗り、新神戸駅を通過する。六甲山の下をくぐる長大なトンネルを進んで、 15:04、谷上駅着。六甲山の裏側の、神戸電鉄との乗り換え駅である。

さて、谷上駅のエキタグを取得してみると、意外な図柄であった。 以前も押したことのある「山の家」のスタンプがエキタグになっていた。 私は、これは神戸電鉄のスタンプだと思っていたから、意外に思ったのだ。 でも良く見ると「神鉄・北神 山の家」とある。 この山の家は、神戸電鉄と、北神急行の共同の運営だったのだろう。 なので、それを引き継いでこの駅のエキタグにしても良いというわけか。

新神戸駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
エキタグ/ 布引の滝と車両

最後は、新神戸から新幹線で帰ろうと思う。 15:09発の電車で折り返し、再び六甲山の下をくぐって、15:19 新神戸駅着。 以前押したことがあるスタンプがエキタグ化されていた。 駅の北側にある、布引の滝が描かれていた。 そういえば私はなんどもこの駅から新幹線に乗っているが、 この滝を見に行った事が無かったな。

今日はまだ時間も早いし、最後に布引の滝を見て帰ろう、と思いついた。
布引の滝は、古く平安時代の貴族たちが、和歌や物語にその美しさを書き残した名所らしい。

地下からエレベータで上がると、新神戸駅の駅舎の後ろ側に、山が迫っている、 あの山を少し登ったところに、滝はあるはずだ。 ところが駅の中から、滝に行くための出口が良くわからない。結局、案内所の人に教えてもらい、 ちょっと目立ちにくい駐車場への出口から行くのだとわかった。案内マップももらえたので、聞いてよかった。

裏手に出ると、新幹線駅のすぐ裏側とは思えない程、静かで深い山が広がっている。 生田川に掛かる古い橋を渡って少し登った先に、布引の滝が見えた。確かに、なかなか美しい。 しかし実は、布引の滝というのは、 生田川がこの山を下る間にある「雄滝」「夫婦滝」「鼓滝」「雌滝」の4つの滝の総称とのこと。 私が見ているのは一番下流の「雌滝」であるらしい。さらに登って上流の滝も見てみようかと考えたが、 案内マップを見ると、この先の道は険しそうである。今日は雌滝で満足して、駅に引き返すことにした。

お腹が空いてきた。いつもなら、駅弁を買って新幹線の中で食べるところだ。 でも今日は時間も早いし、せっかくの神戸だ。 駅の中のレストランでステーキ定食を食べる贅沢をしていくことにした。 今日は、布引の滝も見れて満足だ。あとは新幹線で帰ろう。
新神戸駅 (神戸地下鉄・西神山手線)
北神弓子

最後にもう一つだけスタンプを紹介しておこう。

先ほど、地下鉄の新神戸駅で押したスタンプである。 「北神急行」時代のPRキャラクターで、鉄道むすめのラリーにも登場した、 「北神弓子」さんのスタンプである。 背景には、神戸市営地下鉄の「U」のロゴも入っているから、 谷上線の移管後に作られたものである。 今後はこのキャラクターが、神戸市営地下鉄のPRをしていくことになったらしい。

16:34発の、ひかり516号で帰路に就く。名古屋までなら、ひかり号で十分だ。 のぞみ号は、この3月から自由席が3両から2両に減ってしまったので、 自由席好きの私には窮屈だ。なので、ひかり号を待って乗ることにした。

名古屋には、17:41に到着の予定である。


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