2001年5月10日。前日は伊予大洲で仕事をして遅くなったため、 そのまま宿泊した。今日は午後から岐阜で、別の仕事がある。 午前中に岐阜まで移動しないといけない。普通の方法は、 松山から予讃本線の特急に乗って瀬戸大橋をわたり、 岡山から新幹線であろう。松山空港からの飛行機は、都合の よいものがなかった。

しかし、どうも予讃本線に延々乗るのには退屈してしまいそう なので、なにかいい方法がないものかと考えていた。私はホテル で、持っていたノートパソコンを電話線につないでインターネット をして、ある時刻表を調べた。 調べたのは、今治初の、 しまなみ海道 を経由して、福山に行く バスの時刻 である。さいわい今日はとてもよい天気、バスでの 瀬戸内海の島の旅というのが、とてもよさげな気がする。

都合よく、午後の岐阜での仕事にも間に合うような良い時刻の バスがあることがわかった。そのためにはホテルを朝６時ごろ に出ないといけないが、出張寄り道の旅を楽しもうと思ったら それぐらいは必要な努力だ。自分ひとりの旅であるし、遠慮は いらない。そうと決まったらすぐに行動あるのみだ。

朝一番の特急で大洲から松山、特急を乗り換えて今治駅で下車 する。まだ朝８：００である。 今治 駅前のバスターミナルで しばらく待つと、青い大きなバスがやってきた。これが、 しまなみ海道を行ってくれるバスである。平日のためか、 乗る人はそう多くはない。天気は快晴で、これはとても気持ち よい旅になりそうだ。

しまなみ海道は、愛媛・今治から、広島・福山まで、芸予諸島 の島々を縫うように橋をかけてつないだ有料道路だ。自転車 でも渡れることが魅力で、 私も数年前自転車で旅をした が、そのときはまだ、すべての橋が完成しているわけではなかった。 今回が全ルートの初体験になる。

さっそく始めに渡る、 「来島大橋」が、私が初体験の橋で ある。これが最大の橋で、大きなつり橋を３つ連続して作った 形をしてる。そのスケールの大きさ、そして眼下に見える島と 海の美しさに感動する。前も横も良く見える大きな窓のバスで まったくいい気分である。自転車と違い乗っているだけだし。

いくつもの島と橋を渡り、前に行ったことがある場所に懐かしさ を感じたり、とても楽しい旅だったが、１つ気になることがある。 あまりに道路に車が走っていないのである。平日とはいえ、ここ まで利用されていないとは。そしてこのバスにも、ほとんど人が 乗っていない。今、この、しまなみの道は、公共事業の税金の無駄 使いの槍玉にあがっている。この快適な旅をまたさせてもらう ためにも、なんとか道の利用が増えるような対策をすべきと思う。

ほぼ２時間、実に楽しいバスの旅を終え、福山から新幹線に乗る。 岐阜羽島で下車して名鉄で岐阜に向かい、次の仕事に急いだ。