奈良井 -台風の日の、長い出張旅-



2013年9月16日(祝)。世間は三連休の3日目だが、私は出張に出かけねばならない。 長野・小諸のお客様の所へ行く約束になっていた。ところがちょうど、台風18号が東海地方に近づいていて 朝から暴風雨である。列車の運行情報を見ると、私の乗る列車は運休にはなっていないので、 行かねばならない。雨風を避け、地下鉄を使って名古屋駅まで出ることにした。

窓の外は暴風雨だが、8:00発の特急しなの3号は、定刻に出発した。乗ってしまえばなんとかなるだろう。 うたた寝している間に、特急は木曽谷へ。ひどい雨なので速度を落として走行し、 木曽福島には30分遅れの、9:40に到着。アナウンスがあり、この先で停電が発生しており、 原因調査中とのこと。しばらくここで足止めになった。

2時間経過した12:00頃動き出し、少し山の中を進み、30分程かけて奈良井駅に到着。 またアナウンスがあって、この先で続いている停電の原因は、倒木とのこと。 その処理が続いており、復旧にはしばらく時間がかかるとのこと。
  思いがけず止まった奈良井は、懐かしい街だ。中山道の宿場町で、昔の面影を色濃く 残す街道の町並みが今も残っている。若き日、自転車で旅した 時、木曽駒が荷物を載せて街道を歩いているのを見たっけ。しばらく停まっているようなので、 列車を降りて駅前に出てみる。こんな雨だが、宿場町を観光する人達の傘の列が見えた。

しばらくは木曽谷の風情を味わっていたが、1時間、2時間と経過して、焦ってきた。 お客様のところへ、今日は行けそうにもないと、電話でお詫びを伝えた。 奈良井の駅前には適当なお店がないので、昼飯の食べ物が手に入らない。あんまり列車から離れると、置いてかれる危険もある。 空腹で参った。保線作業員の方々は、今頃必死に、倒木の撤去・電気系統確認中、なのだろうなあ。

当の台風の方は静岡県に上陸し、速度を上げ、もう東北方面へ抜けてしまったらしい。 近くの山々に、空から日が差し始めた。結局、奈良井を出発できた のは17:05頃。しなの鉄道の乗換駅、篠ノ井駅で私が下車したのは、19:20。 実に8時間の遅れ。とっぷりと日が暮れた。

しなの鉄道の小諸行きに乗車しようとしたところで、携帯が鳴った。先にお客様の所に入った 同僚からの今日の報告。ややこしい話だったので、とりあえず目の前の電車に乗って、話を聞いた。 その後、列車内に流れたアナウンスを聞いて私はショックを受けた。「次は稲荷山、稲荷山です。」 と言う。うわあ、乗る列車を間違えた。特急しなのでやってきた篠ノ井線を、逆戻りしてる!

なんとも、ついてない日だった。こんな日も、あるんだな。

稲荷山駅で下車し、駅近くでタクシーを拾い、しなの鉄道の屋代駅へ。 駅前の料理屋でやっと食事をして、それから小諸までのさらなる列車旅になった。 小諸のホテル到着は21:00過ぎになった。


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