近鉄奈良駅を出て東に歩くと、すぐに緑の多い公園が広がる。 鹿がいっぱい住んでいる奈良公園だ。あいにくの雨だが、雨 で遠くの山には霞がかかり、緑が新鮮に見えて、またこんな 感じもよい。興福寺国宝館への道で、さっそく雨宿りして いた一頭の鹿と出会った。こっちを向いている。

小学校の修学旅行以来か？いやいや、中学のときに仏像に 興味を持って、 興福寺の阿修羅像を見に来た ことがあったっけ。この猿沢の池と興福寺の五重塔を背景にして、母に撮ってもらった 写真があるなあ。それから大学のとき、 名古屋から四国まで走った サイクリングの初日に、雨に降られて奈良まで走ったっけ。 そのときは、この近くのユースホステルに泊まったなあ。 その大学の時からでも、もう２０年ぶりだな。

たった４０年余の私の人生でも、奈良の町にはいくつかの思い出 が重なっている。奈良の都・平城京が開かれたのは天平の時代、 西暦７１０年。以来１３００年の歴史がここに重なっているわけだ。 おびただしい人々の思い出が、この町に重なっているのだろうな。

そろそろ目も覚めたし、お客さんの所へ仕事に向かうことにしよう。 近鉄電車の窓から、 平城京 の復元された赤い朱雀門が見えた。