秋田へ

　８月１日。今日は加藤さんと秋田に向かう約束の日である。 ２日間連泊してなじみになったＹＨの仲間たちと別れ、私は来た道を戻ることにする。 国道229号線を離れ、海沿いに積丹岬に向かう。積丹独特の海に突き出す立岩が、この あたりにもいくつもあった。自転車を降り、遊歩道を歩いて積丹岬へ。やがて赤と白に 塗り分けられた灯台があった。さらに島武意海岸へと歩く。シャコタンブルーの海が このあたりでもとても美しかった。

　海岸沿いの道が国道229号線に合流してしまうと、後は本当に来た道を戻るだけである。 また断崖絶壁・落石が気になってしょうがない海岸線の道を、余市まで戻った。 余市で自転車を分解し輪行袋に入れる。これで今回の自転車の旅は終わりだ。 まだ時間があるので、余市から鉄道で、倶知安まで行って見ることにした。倶知安は 積丹半島の根元に位置している。羊蹄山やニセコアンヌプリなどの秀峰があり、冬は スキーでにぎわうという。余市から列車は峠道を登り、森の中を進んで行った。 羊蹄山の姿を見るのが目的であったが、あいにく雲がかかって見えなかった。 仕方がないので、倶知安の駅で昼食を取り、戻ることにした。余市・小樽・札幌と戻る。

この後の話になるが、加藤さんは野幌の鍼灸院を次の年（９５年）にたたみ、実家 のある秋田に、新しく鍼灸院を開業された。大成鍼灸院である。小野寺さんとのコンピ もそのままで、地域の方々に喜ばれているという。加藤さんの北海道生活は、そんな わけでこの次の年でピリオドになるわけだが、考えて見れば私は加藤さんの北海道時代 本当にお世話になったものである。改めて感謝を申し上げたい。

さて、急行はまなすに戻る。列車が動きだすと、すぐに旅の疲れから私は眠りに落ちた。 今回の旅は、まだ秋田へと続くのであるが、北海道・積丹の旅はこれで終わりである。 積丹の自然を満喫出来た素晴らしい旅であった。３人を乗せた列車は、やがて北海道 を離れ、青函トンネルを南へと進んだ。（了）