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一冊の本が私の手元に届いた．知里真志保著，「地名アイヌ語小辞典」。 黄色い地にアイヌ文様をあしらった表紙の小さな本．札幌の友人からである。 ページを開けば北海道の地名の由来を次々に知ることが出来る。 私にとってなつかしい地名も現われる． 曰く、「ｃｈｉｋｅｐ,チけプ・きり立ったがけ。室蘭市母恋南町の丘陵外海に 面する断崖は，そこに灯台があり,地球岬と云っているが，その原名は Ｃｈｉｋｅｐであった。」 室蘭の地球岬には，５年前の夏，訪れた事がある．「日本全県自転車走破」 を目指したサイクリングの旅の一つであった．船で早朝，室蘭の港に着いた。 港を離れ，自転車を押して丘陵を登ると，黒々した製鉄所の建物の広がりが 圧巻だった．私は名前に惹かれて，室蘭の町の南に突き出した「地球岬」を， その旅の出発点と決めていた．断崖の上に白い灯台が立っている．灯台を 見下ろす位置にある展望台に登れば，海は大きく広がり，水平線が地球の丸さ を感じる．朝の日差しが灯台の白い壁を照らし始め，荘厳だった。旅の出発点 にふさわしい場所だった．そこから南に走った．北海道と東北全県を走り通し， 長野県まで１０００ｋｍ．素晴らしい旅だった。 本を贈ってくれたのは、札幌の加藤均さん。５年前，山梨県の石和温泉ＹＨ （ユースホステル）で知り合った時，お互い工学を学ぶ大学院生であり， 同い年であった事もあり，交友を続けることが出来た．私にとって，考え方に 共通点が多く，共感できる人である。このころ、札幌市内に住んでおられた。
本を眺めているうちに、北海道へもう一度行ってみたいという気持ちが強くなった。 |
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