湯田中 -春のスノーモンキー-



久しく会っていなかった大学時代の友達からメールをもらった。 最近、家を買って落ち着いたとの事、元気でなによりである。 久しぶりに昔話でもしたいなあ、と思った。

2015年4月17日(金)。丁度週末、東京の展示会へ出張があったので、 終わってから彼の家に寄ってみることにした。とはいえ、近い所ではない。 夕刻、東京駅から北陸新幹線に乗り、長野駅へ。まだここから1時間、電車に乗らねばならない。 地下の 長野電鉄 ホームに行くと、あれ?成田エクスプレスが停まっている。 この列車は「特急スノーモンキー号」という。 志賀高原方面に行くスキー客が主なお客だ。車体には、温泉に入るサルの図柄。長野電鉄はのどかな ローカル私鉄だが、特急だけは、小田急のロマンスカーや、この成田エキスプレス など、他の会社の人気車両を中古で譲り受け、走らせているのだ。

闇の中を約1時間。20:24、終点湯田中へ到着。はるばる来た感がある。

駅で彼が出迎えてくれた、いや懐かしい、あまり変わってなくて良かった。 湯田中は古くからの温泉街 である。ちょうど今が満開の夜桜を眺めながら、 駅前の足湯にしばらく浸かる。それから風情ある旅館の並ぶ通りの居酒屋に入り、 積もる話を始める。彼に会うのは十年ぶりなので、その間いろいろあった。
  もともと、この近くの出身であった彼は、大学を出てから他の土地で働いていたが、 いよいよ故郷とに戻って落ち着くことにしたのだそうだ。駅から歩いて数分のところに 小さな中古の家を買い、一人暮らしを始めたそうだ。

彼の家に荷物を置き、すぐ近くにある地元の人だけが入れる共同浴場へ。 源泉かけ流しの熱い温泉に浸かり、いろいろ昔話をする。 こんな贅沢な温泉が、住人はタダで24時間入り放題だそうだ。なんともうらやましい。 夜桜を眺めながら彼の家に戻る。冬は雪が多くて大変らしいが、今は春、良い所だ。

彼の家に泊めてもらい、あくる日。車でこのあたりの名所に 連れて行ってもらうことになった。湯田中温泉の脇を流れる夜間瀬川を遡ると、 また別の温泉街がある。 渋温泉、 木造4階建ての旅館もあり、風情がある。
  車はさらに川沿いに遡り、険しい林道を抜け、山を越えた 所の駐車場へ。横を流れる川は、雪解け水で増水している。その脇に、 地獄谷・野猿公苑 の案内標識がある。それに従い登っていくと、硫黄の匂いがする。すごい勢いで 噴泉が5m程も上がっている。不意にニホンザルがすぐ近くに駆け下りてきて、驚く。

ここの一番の名所は、ニホンザルがいつも浸かっている温泉である。 今日もたくさんの猿が居る。春なので、子ザルが沢山いて可愛い。 彼らも、温泉に24時間タダで入れる、ここの住人なのだ。 そんなサル、世界にここだけしかいないそうだ。彼らは、 「スノーモンキー」と呼ばれ、世界的に有名なサルなのだ。 今日も彼らに会いに、西欧の外国人観光客がいっぱい来ている。 サルはざっと100頭ぐらいだが、同じぐらいの数の外人さんである。 すごい人気。

湯に浸かり、気持ち良さげな2頭のサル。
まるで昨夜の僕らの様だ。
楽しかった。またそのうち湯に浸かりに、ここに来ようと思う。


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