|
08年3月31日、東京出張のため新幹線に乗る。
N700系、のぞみ8号。
この新型新幹線は車内の表示が大きくて見やすい。大きく「東京行」
の文字が液晶を流れる。乗りなれた新幹線であるが、やはり新型
車両に乗ると新鮮だ。 ドアが開き、真新しいスーツを着た若者が20人ほど、まとまって乗込ん できた。どうやら彼らは、明日から新社会人になる面々のようである。 明日は東京で入社式かな。ああ、懐かしいな。オレもそうだったんだよ。 ちょうど20年前の3月31日。次の日に行われる入社式に 出席するため、新幹線で東京に向かったんだ。車両はたぶん、 今は廃止されてしまった 100系だったな。 カッコいい車両だったよ。オレもついに新幹線で仕事に行く身分に なったかって、感動したね。 そう、「東京行き」の新幹線で、オレの仕事は始まったのさ。
会社が用意した池袋のホテルに一泊して、次の日、巣鴨の体育館で
同期の約800人とともに入社式をしたっけ。社長の訓示はあったと
思うけど、ははは、全然覚えてないな。大きな会社で、日本全国に
職場があるから、入社式だけ一緒でそれっきり、という同期も多い。
果たして皆元気でやっているんだろうか。何人が会社に残っているのかな。
20年、生まれた子供が大人になるまでの時間。
いろいろなことがあった、本当に。
|
|
今は名古屋で働き、時々出張に出て仕事をしている。
そして勤続20年目の日、またもや東京行きの新幹線に乗っている。
勤続20年か。よう働いたな。少し自分を
ほめてやってもいいのかな。会社人生は折り返し点に来た。あと半分で、
なにがしかを為し得るだろうか。
すっかりオヤジになったはずの我が同期の諸君、元気か？
残り半分だな。しんどいが、お互いがんばろうな。
お昼すぎ、東京に着く。時間があったので皇居のお堀端まで行ってみた。 石垣の上から下に、桜の花がこぼれるように咲き誇っていた。（了） |
|
