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毎年年末になると、雪国のお客様から声がかかる。2010年12月24日(金）、
富山に出張することになった。
名古屋から富山は結構遠く、片道４時間はかかる。昼からの会議のため、朝一番の特急しらさぎ１号に乗らねばならぬ。
会議が長引いた場合、帰りの列車の時間が心配である。こういう時に便利なのが、JR東海の
「北陸往復割引きっぷ」だ。
特急しらさぎの他、米原からの新幹線にも乗れるので、帰りが遅くなっても
乗継いで名古屋に帰って来られる。なので今回、同行するAさんにも、この切符を勧めた。 前日、会社で出張の準備。Aさんに行きの特急しらさぎ１号の座席を聞いたら、 私のすぐ前の席とのこと。じゃあ列車内で出張の作戦会議と行きましょうか、 などと話していた。 当日朝、7:40、名古屋駅のホームに、白いスタイリッシュな683系列車が入ってきた。 しらさぎがこの車両になってから、とても乗り心地が良くなった。以前のL特急 とは格段の差がある。 7:50、定刻通りの発車。ところがすぐ前のAさんの座席が空いたままである。 あれ？乗り遅れたのかな。すぐに携帯に電話してみたが出ない。尾張一宮を過ぎたあたりで もう一度電話するが、出ない。岐阜を過ぎて３度目の電話をしたが、やっぱり出ない。 これは何かあったに違いない。Aさんが心配になると同時に、急に不安になってきた。実は今回、 プレゼン資料もパソコンも、Aさんにお任せしていた。おかげで私は紙１枚持っていないのである。 だからAさんがいないと今日の仕事ができないのだ。もうすぐ関ヶ原だ、電波が悪くて携帯も繋がら なくなるぞ、これは困った。 |
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大垣を出て、４度目の電話。すると今度はつながった。 あわてて「今どこですか？」と訪ねると、Aさんは落ち着いた声で、 「名古屋駅の新幹線ホームですよ」と答える。「えっ！」 私は一瞬で事情が理解できた。そうだ、そういう切符をAさんにすすめたのは この私だった。名古屋駅8:22初のひかり501号に乗れば、米原から しらさぎ１号への乗り換えが可能なのだ。そうすれば、なんと朝の忙しい 時間に30分もゆっくりできるのだ。電話に出なかったのは名古屋駅に出る電車に乗っておられたから。 近江長岡を過ぎたあたりで、雪雲に覆われた伊吹山の前を、N700系の車両 がすうーっとこちらを追い抜いて行く。ああ、やられた。 「北陸はしらさぎで行く所」という固定概念に、私ははまっていたようだ。 無事米原から合流したAさんのおかげで、仕事は無難に終わった。帰りが 遅くなることもなかったが、雪になった。 |
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