再会

　日本最北端を訪問する今回の旅、もう１つ目的がある。この旅に出るきっかけ になった、「地名アイヌ語小辞典」を送ってくれた旅の友、加藤均さんに再会 することである。札幌に住む加藤さんに連絡を取り、最北端訪問の報告をする。

　宗谷岬への旅を終えた次の日、８月１７日。稚内の町で不要な荷物は宅急便で送返し、 身軽になったうえで、稚内駅で輪行し、急行宗谷に乗り込む。札幌まで、道北の風景 を眺めながら半日列車の旅をして、札幌に戻る。サロベツ原野・音威子府・名寄・比布 など、旅心そそられる沿線風景であった。夕刻、加藤さん宅に転がり込む。 加藤さんは秋田の人であるが、自転車旅で訪れた北海道を愛し、ついに札幌に住む ことを実現したところであった。その北海道への思い入れは深い。

　私はこの９１年の旅以来、９５年まで、毎年夏になると北海道を自転車旅した。 ５年連続である。ひとえに加藤さんという友人がいて下さったおかげである。 自転車のフロントバッグには、もちろん「地名アイヌ語小辞典」を忍ばせての 旅であった。それらの旅のこと、また書いていきたいと思う。（了）